AIができることを、人がやる必要はない
3人目を雇う前に、AIを"社員"にした話
課題
- 役員2名で5事業を展開しており、リソースが限界。3人目の採用を検討していた
- リソース不足解消にChatGPTやNotion AIなどのツールを単発で使ってはいたが、実務レベルの開発や自動化にはクオリティへの疑念があり手が出せていなかった
- 開発の知識がないためAIが生成したコードの良し悪しが判断できず、ツール開発を行ってもメンテナンス面への不安があった
解決策
- 「魚(成果物)」ではなく「釣り方(開発手法)」を学ぶAIコーチングで社内課題を解消
- Cursorを活用し、非エンジニアでも設計・実装・デプロイまでを完結
- AI活用の前提となる「概念」をインストールし、活用readyな体制へ
効果
- 「これもAIで解決できるかも」という視点が定着し、業務改善のスピードが劇的に向上
- 外部へ外注しなくても、社内ツールであれば自社内でPOC(概念実証)まで完結できるようになった
- 3人目の採用は継続するものの、AIに任せられる定型業務を切り離したことで、新入社員には「より人間にしかできない仕事」に集中してもらう環境が整った
インタビューを受けてくれた方
千葉祐輔様
千葉様:nuyは3期目を迎えたばかりのスタートアップです。「道外から人を呼び、北海道の社会と経済を活性化する」ことを目指し、旅行・飲食・宿泊などの領域を中心として事業を展開しており、既存事業のM&Aなどにより急速に事業を拡大しています。現在役員2名の体制で5つの事業を動かしており、子会社も抱えています。正直、リソースは常に限界で「そろそろ3人目を雇わないと回らないね」と話していたタイミングでした。
もともとChatGPTやGeminiの有料プラン、Notion AIなどはある程度触っていました。楽天ECの商品ページを作る際にHTMLをお洒落に書き換えてもらったり、Googleフォームの回答をSlackに通知させるGASを書いたりといった「小技」的な使い方はしていたんです。
ただ、より本格的な開発となると二の足を踏んでいました。開発の専門性が乏しいので、AIがそれっぽいものを出してきたとしても「それが実用に足るものか」が判断できない。何かあった時にメンテナンスができないんじゃないか、という不安があったんです。心のどこかで「所詮はAIクオリティでしょ」と、その実力を疑っていた部分もありましたね。
千葉様:きっかけはWolkinとイベントで出会ったことでした。そこで聞いた具体的な活用事例が刺激になったんです。「物件サイトから情報をスクレイピングして精査する」といった話を聞き、AIで何ができるのかという想像が一気に膨らみました。
何より刺さったのは「社員を雇う前に、AIにやらせられる限界までやってみよう」という考え方です。人一人の採用コストに比べれば、AIを本気で学ぶ投資は安い。
それから、ここで勉強しておかないと、かつてインターネットの普及を拒否して取り残された人たちのようになってしまうとも思っていて。自分は「将来どちら側の人間でありたいか」を考えたとき、今ここで本気になるべきだと確信しました。
千葉様:一番良かったのは、単に「これを作って納品してください」という依頼ではなく、「作り方を教えてもらう」ーつまり魚ではなく釣り方を教わるという握りが最初にできたことです。
特に印象に残っているのは、RAG(検索拡張生成)の講義です。自社データを取り込んで回答させる仕組みの概念を理解できたことで、AIにどうお願いすればいいかが明確になりました。
また、AIエディタ「Cursor」との出会いも画期的でした。自分のパソコンを勝手に操作してコードを書いてくれるような感覚は衝撃で、今ではChatGPTに任せていた領域も、ExcelやPDFの出力系を含めてCursorに任せることが増えています。専門知識を持った人に道筋を立ててもらうことで、独学とは比較にならない「時間対到達点」の高さで進めることができました。
千葉様:日々の小さな課題に対して「これ、AIで解決できるかもね」と考えるボーダーラインがぐっと上がりました。社内で使うものなら外注しなくても自分たちで作れてしまう。この「選択肢が広がる感覚」は、景色が変わるほどの変化でしたね。
定量的には、まだ課題に取り組んでいる最中ではありますが、感覚としては「2人で3人分以上の仕事ができる」という手応えを感じています。
3人目の採用についても意思決定が変わりました。フィジカルに人が必要なポジションは募集していますが、AIができることを人間にやらせる必要はない。新しい人が入ったとしても、雑務ではなく「人間にしかできない得意な仕事」に集中してもらえる。AIが整ったことで、採用の質そのものが向上したと感じています。
千葉様:ネットにはTipsがたくさん落ちていますが、いざ自分でやるとなるとエラーが出た時に詰んでしまいます。設計の段階からプロに導いてもらうことで、迷わずに最短距離で進めました。
「調べ物をしながらAIに習熟する余力がない」という忙しい経営者こそ、隣で寄り添ってくれる伴走者の存在は大きいと思います。AIという強力な「3人目の社員」を手に入れたことで、攻めの経営により注力できるようになりました。